事業構築プロセス

系統用蓄電池ビジネスは、例えば火力発電や原子力発電のように大規模開発や燃料調達は必要ありませんが、蓄電所を運営するにあたり各種制度や法令に則った手続きや準備のため、事業構築プロセスは他の発電所同様に存在します。
ここでは、蓄電所の運用に至るまでの流れと事業構築プロセスについて解説します。


運用までの流れ

系統用蓄電池ビジネスの実運用までの簡単な流れは、以下のとおりです。


運用にあたって、電力系統の空き容量を考慮した適地の確保に始まり、用地開発、系統用蓄電池の選定・調達・設計・施工、電力会社への連系申込みなど、非常に多くの経験と専門知識が必要です。さらに実運用を開始してからも、電力市場での電力取引や有資格者による定期的な保守点検など、24時間監視体制のもと、安心・安全・安定的な運用が求められます。



事業構築プロセス

事業構築にあたっての企画立案から各種調整、施工、運用、そして撤去・処分に至るまでのプロセスについて、それぞれの段階で必要となる主な要素は次の通りです。

STEP1|企画立案

系統用蓄電池による発電事業を円滑かつ確実に実施するためには、各種関係法令や条例等を確認し、計画的に準備・手続きを行います。事業の開始・継続・撤退などの判断基準を行う上でも、関係者のあいだで十分な検討と合意形成が重要です。


● 事業者選定
施工業者(EPC事業者)をはじめ保守管理業者(O&M事業者)、運用業者(アグリゲーター)の選定を行います。

● 用地選定
事業に適した土地を探し、現地調査を経て利用可能性の有無について検討します。土地を新規取得する場合は地権者と土地利用と価格等の条件を協議し、売買or賃借契約の締結が必要です。

● 設備検討
事業で用いる機器のメーカーや規格等を精査して、導入設備を決定します。

● 接続検討・電力申請
系統の空き容量有無、接続可否等調査を行い事業実施の可能性を判断します。一般送配電事業者との協議も発生します。



STEP2|設計・施工

工事計画の策定や設計、機器搬入手段を手配して各種工事を行います。関係法令・条例・保安規定に則った設計、施工が求められます。


● 土木工事
事業用に土地の整地や防草処理、フェンスなどの外構工事を行います。

● 電気工事
高電圧安全対策を踏まえて配線、接続図を作成し、各種設備を接続するための電線引き込みを行います。蓄電池は火災リスク高い設備として消防法の規定があるため、消防立ち合いのもと、確認が必要です。



STEP3|運用・管理

事業開始後も長期継続的に蓄電設備を稼働させるため、キャッシュフロー管理をはじめ、発電事業者には保守点検・維持管理計画を策定し、適切な管理や性能の維持に努めることが求められます。


● ファイナンス管理
事業計画に則り、発電実績や事業収益キャッシュフローを管理します。

● 保守、メンテナンス
故障や劣化を防ぐために、定期的に保守点検を行います。また、運用効率の維持や寿命を最大化するうえでも適切なメンテナンスが重要です。

● 充放電制御
最適運用を実施するため、市場単価予測や系統需要に連動するシステムを用いてリアルタイム制御を行い自動的に充放電を実施します。

● 電力市場取引
電力需給の変動に応じて充電した電力を各電力市場へ売買し、調整力を供出するとともに売電収益を獲得します。



STEP4|撤去・処分

産業用蓄電池の処分については、メーカー各社・専門廃棄業者が広域認定にもとづく処理システムを構築中です。最新の法制度、規定に則った廃棄計画の策定と管理等が求められます。


● 設備の撤去
周辺地域へ配慮した撤去。また、必要に応じて土地の原状回復を行います。

● 設備の廃棄
認定廃棄事業者の利用など適切な処分方法の検討を行い、機器の処分とリサイクルを実施します。



まとめ

系統用蓄電池は事業を実施するにあたって、複数のプロセスを実行しなければなりません。また、各種制度や規制に対する専門知識を用いた計画立案・手続きから、専門の免許を取得した技術者による工事、専用システムによる電力取引など、業務も多岐にわたることから専門業者と協力した事業構築が必要です。

Grid Biz.では、事業開始までに必要な各工程において多様な選択肢をご用意。各事業者間の独自コネクションを活用した提案が可能です。これから系統用蓄電池ビジネスを始める事業者のスムーズな事業構築を後押しします。

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